プロジェクト管理で大切なことは飲み会の幹事で学んだ
「カナヤマさん、会社の懇親会の幹事をお願いしたいんだけど。日程は3月中旬で」
ある日突然、上司からこのようなことを言われたら、どうしますか?
最初に思うのは「えっ、困るんだけど...」ではないでしょうか。
入社したばかりの若手社員に任される仕事の一つが「飲み会の幹事」。当時の私は広告制作会社に勤めており、懇親会や忘年会などの「会社の飲み会」が定期的にありました。そのたびに、若手社員を中心にローテーションで幹事が回っていました。
私はこの「飲み会の幹事」が、ものすごく苦痛でした。
なぜなら、
・他部署の人の顔や名前を知らない人の方が多い(怖そうな人もいるし...)
・自分は面白い人間ではないから場を盛り上げられない
など、理由は色々ありますが、自分に幹事の適性はないと思っていました。
しかし、飲み会の幹事は任務なのでやらなければならず、やるからには参加してもらったメンバーには「満足してもらいたい」という思いはあり、帰宅時間が遅くなっても幹事の仕事に取り組んでいました。
そうして、幹事を何度か担当するうちに、飲み会の幹事はプロジェクト管理と似ている点があることに気づきました。そのスキルは、WEBディレクターとして仕事をしている現在に活かされていると感じています。
今回は、飲み会の幹事を経験することで、具体的にどのようなスキルが身についたのか紹介しようと思います。
•飲み会の幹事が実は「プロジェクト管理」の基礎スキルを身につけるチャンス。
•幹事を通じて得られるのは「進行管理力」「チーム力」「コミュニケーション力」の3つ。
•日常業務に役立つ方法を具体例で解説。
1.進行管理力が身についた
私は、飲み会の成功を大きく左右するのは「段取り」だと思っています。ここをしっかりやらないと進行が悪くなり、参加した人にあまり良い印象を与えることができませんでした。そこで、段取りで失敗しないように、スケジュールを立てる時は逆算して考えることを意識しました。
例えば、3月14日に懇親会を開催すると設定します。
まず、飲み会の日程を「ゴール」に設定し(①)、ゴールからさかのぼって「何をやるか」「いつまでにやるか」「どのぐらい日数がかかるのか」を、順番に書き出していきました(②)。まとめるものは、紙やエクセルで大丈夫です。(当時の私は会社にある制作用のA4スケジュール用紙で手書きしていました。現在はスケジュール調整用のサイトやアプリもあるので、デジタルツールでまとめるのもおすすめです)
逆算してスケジュールを立てることで「参加者の募集期間は、これぐらい見ておいたらよいか」と、やることにかかる日数の目安が把握できます。また、トラブルがあった時の予備日も確保できます。これによって直前で慌てたり、タスクを抜かしてしまうことが減りました。
また、スケジュールを見える化することで全体を把握でき、案内メールの送り忘れや伝言もれといったミスもなくなりました。
「飲み会ひとつで、ここまで細かくやるのか...」と思う人もいるかもしれませんが、飲み会の幹事がやるタスクは意外と多いです。アバウトにスケジュールを立てて、後から「もっと、きちんとやっておけばよかった...」と後悔するのは自分です(笑)。そういう戒めという意味でも、スケジュールは細かく立てておいた方がよいと思います。
「逆算してスケジュールを立てる」「スケジュールの見える化」は、自分がプロジェクトの進行を担当する時に、かなり役に立っていると感じています。多くの人が関わる大規模なプロジェクトほど「タスク(何をやるか)」「期限(いつまでにやるか)」「必要日数(どのぐらい日数がかかるのか)」は、進行役がきちんと把握しておくことが大事だと思うのでおすすめです。
2.チーム力が身についた
幹事をお願いされた時あるあるかもしれませんが、なぜか「自分一人でやらなければならない」と、勝手に決めつけてしまいます。依頼をする人は、中心で動いてほしい人にお願いをしているだけであり、一人でやってほしいとは一言も言っていません。幹事を依頼された当初はここを勘違いしており、すべてを一人で背負ってやっていました。あまりに思いつめた表情で幹事の仕事をやっている私を見かねた当時の先輩に
「幹事の仕事は分担できるから、誰かにお願いして何人かでやったらいいんじゃない?」
と、言われた時は目からうろこが落ちる思いでした。
確かに、飲み会幹事の主な仕事は前後のつながりがなく、進捗を随時確認しておけば分担して進められるので一人ひとりの負担も減ります。
※飲み会幹事の主な仕事
・会場の手配
・当日のプログラム作成(企画(余興)を考える)
・飲み会の詳細を参加者に連絡
・会場準備
・当日の進行・場を盛り上げる
・精算報告
私は、場を盛り上げることが非常に苦手なので「当日の進行・場を盛り上げる」はムードメーカー的な先輩のAさんにお願いをしていました。また「会場の手配」で、ある程度トレンドをおさえたお店を選んだ方がよい時は、情報通の同僚のBさんに協力してもらいました。
「こんなことを相談しても大丈夫かな」と、思わなくても大丈夫です。得意なことなら、人は積極的に協力してくれます(笑)。
飲み会はトータルで「楽しかった」という印象を与えたらよいので、自分より得意な人の手を借りた方が上手くいく場合は、相談することも一つの方法かと思います。
そのためには、「あの人は、人を楽しませることが得意なんだな」「この人は、交渉事で力になってくれそう」と、普段からどんな人であるかを知っておくことをおすすめします。
プロジェクトを進める時も、チーム力は大事だと思います。誰と一緒に取り組むかによって、成果は変わります。また、一人で進めるよりも作業を分担して得意な人にお願いした方が効率よく進むし、良い結果になったことが多かったと実感しています。仕事のなかでチームを作る立場となった時に、誰に依頼をしたらよいか把握しておくことが大切かと思います。
3.コミュニケーション力が身についた
飲み会の幹事になると、上司や他部署の人、お店のスタッフの方など様々な人とやり取りする必要があります。色々な立場の人が、色々な好みや意見を言います。はじめて幹事になった時は、あまりの要望の多さに「人間って、何てわがままなんだ...」とさえ思いました。
しかし、飲み会の幹事を何度か続けるうちに「相手のわがままを、どのように満足や楽しみに変えたらよいだろうか」と、考えるようになりました。ここで、私が心がけていたのは「聞き役に徹する」です。
最初に書きましたが、自分が幹事となった飲み会に参加したメンバーには満足してもらいたい。満足してもらうためには、相手が何を求めているかを知る必要があります。自分の感情や意見はいったん心の中に留めて、相手を受け入れる気持ちで話を聞くと「Aさんの立場だと、こういうことを望んでいるんだ」や「会社の飲み会に対して、Bさんはこういうことを考えているんだ」など、相手の思いを客観的に汲み取ることができるようになりました。
また、会社の飲み会の場合、分からないことや迷ったことがあれば先輩に聞いてみるのも一つの手です。「こんなことを聞いてもいいのかな」と、思わなくても大丈夫です。こういう時、先輩は可愛い後輩のために色々と話してくれます(笑)。過去の失敗談やどのようなトラブルがあったかを情報収集しておくと、対策がとれます。
ディレクションの立場でも「人の話を聞く」ことは大切です。仕事上、提案する機会も多いので、話が上手な人の方に適性がある印象がありますが、お客様が抱えている課題解決のために、課題が何かを把握することが大前提なので、私は「話を聞く」力がある方が大事だと思います。
この記事を読んでいる方のなかには「お客様が年配の方で上手にコミュニケーションが取れているかどうか悩んでいる」という若い方もいるかと思います。その時は、ぜひ上に書いた「聞き役に徹する」を意識してコミュニケーションすることをおすすめします。分からないことは素直に聞いてみましょう。「自分と異なる世代の人は、こういう意見を持っているんだな」と、相手の色々な思いを知ることができるので面白いですよ。
飲み会の幹事もプロジェクト管理も自ら楽しんでやることが大切
ここまで、私が飲み会の幹事で身についた代表的なスキルを挙げました。他にも問題解決力やコスト管理など色々なスキルが身につきましたが、個人的に特に磨かれたなと感じるのはこの3つでした。
飲み会の幹事は、スケジュールを細かく管理したり、自分とは年齢や立場が違う人とコミュニケーションを取らなけばならなかったり...と、タスクが多くなるので正直面倒くさいです。
しかし、視点を変えてみると幹事の仕事はプロジェクト管理に必要なスキルが手に入る良い機会になるのではないかと思います。
当時、なぜ飲み会の幹事を頑張ってやっていたんだろうと考えた時に、メンバーの楽しんでいる表情が見たかったんだと思います。楽しい時間を過ごしてもらうために、時間と労力をかけて準備した飲み会を参加したメンバーに喜んでもらえて「ありがとう!」という言葉をかけてもらえると、やはりうれしい気持ちになりました。
プロジェクト管理も「目の前の相手を幸せにするために、一生懸命力を尽くす」ことは共通しています。そのためには、「さあ、どうしたら相手に喜んでもらえるかな」と、自発的に役割を楽しむ姿勢が大事だと思います。
2025年となり、はや1ヶ月。もう少し時が経てば送別会や歓迎会など、会社での飲み会が色々と増える春がやってきます。もし、あなたが上司から「●●さん、今度の送別会の幹事をお願いしたいんだけど」と、突然任命された時に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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