ヨリミル
トレンドレポート

web3時代のドメイン事情について ENSで.ethドメインを取得してみた話

2025/09/09
.ethドメインの始め方|ENS(イーサリアム・ネーム・サービス)で取得する方法とメリット

Web3時代の新しい住所「ENS」

ヨリミルライターの大前です。

インターネット黎明期を知る人なら、ドメインの存在がどれほど重要なことだったのかご存知でしょう。当時、Webサイトへアクセスするには、IPアドレスという数字の羅列を直接入力する必要がありました。
でも、 54.235.191.121 のような数字を覚えるのは至難の業。だからこそ、 DNS(Domain Name System)の登場は画期的でした。

アメリカのポール・モカペトリス氏が1983年に開発したこの仕組みのおかげで、数字ではなく「yorimiru.com」といったように、人間にわかりやすい名前でアクセスできるようになったのです。まさに、Web2時代の基盤をつくった発明でした。
そして、このドメインの仕組みは Web2時代を支える大事な要素として、長きにわたって君臨し続けてきました。そのため、「もうこれ以上進化しないのかな」と思っていたのですが、

ところが、今注目されている Web3 の世界でも、Web2時代と同じ課題が再び現れ、この「名前を付ける仕組み」が必要とされるようになっています。

例えば、誰かにイーサリアムを送ろうとするとき。必要なのは相手の名前やメールアドレスではなく、「0x」で始まる42桁の英数字のウォレットアドレスです。これがまた、とにかく覚えにくい。しかも、入力を一文字でも間違えれば送金は取り戻せません。

ENS(イーサリアム・ネーム・サービス)とは?

そこで登場するのが 、イーサリアムブロックチェーンとやり取りできる、分散型で拡張可能、オープンなネーミングシステムENS(Ethereum Name Service) です。
ENSを使えば、自分のウォレットアドレスに「◯◯.eth」という好きな名前を紐づけることができます。つまり、 複雑な文字列の代わりに、シンプルでわかりやすいドメイン名でやり取りできるようになるのです。

ENS取得のメリット

ENSを取得するメリットは大きく3つあります。

① ウォレットアドレスを間違えるリスクを減らせる
② ENSを持っていることでトークンやNFTを受け取れる可能性がある
③ ENSを持っているだけで、ちょっとかっこいい

今からひとつずつメリットについて紐解いていきます。

① ウォレットアドレスを間違えるリスクを減らせる

これは先ほども触れましたが、イーサリアムのウォレットアドレスは
「0xF0AEC05*************************F7A94e84」
のように非常に長く、法則性もなく覚えることができません。

急いでいるときに、パッと呼び起こして入力できる10文字前後のアドレスがあるととても便利ですよね。これはまさにWeb2時代と同じメリットです。

② トークンやNFTを受け取れる可能性がある

ENS名は「Web3 ID」としての認知度が高く、KYC代替や"アクティブユーザー"判定に使いやすい特性を持っています。

そのため近年では、

  • 新規トークン配布の応募条件

  • NFTミントのホワイトリスト条件

  • Web3サービスの早期アクセス権

といった場面で「ENSホルダーかどうか」がフィルタ条件として用いられる事例が増えています。

③ 持っているだけで、ちょっとかっこいい

ENSはウォレットアドレスに名前を付ける仕組みなので、
「0xabc...」ではなく「yourname.eth」と表示されます。
それだけで「ENSをきちんと登録している人」という印象を与えるんです。

つまり、「初心者やスパムではなく、ある程度リテラシーを持った人」というサインになる。そんな感覚的なメリットもあります。
実際、私自身もこの③の理由だけでENSを取得しています。

主なブロックチェーン・ネームサービス

ENSは現在、もっとも広く使われているWeb3時代のネームサービスです。
ただし、他にもいくつかの選択肢が登場しています。

1. ENS (Ethereum Name Service)

  • 代表例であり、.eth ドメインを扱う。
  • Ethereumネットワークのアドレスを人間にわかりやすい名前に変換できる。
  • dApps やウォレットとの連携が豊富。

2. Unstoppable Domains

  • .crypto、.nft、.wallet、.dao など多様な拡張子を提供。
  • 一度購入すれば年更新が不要で"買い切り"なのが特徴。
  • Web3 ID、ログイン、決済先指定など幅広く活用できる。

3. .bnb ドメイン(BNB Chain Name Service, BNS)

  • バイナンススマートチェーン(BNB Chain)向けのドメインサービス。
  • ENSと同様にアドレスを短縮可能。
  • 例として「yourname.bnb」といった形になる。

4. Solana Name Service (SNS)

  • Solanaブロックチェーン用のネームサービス。
  • .sol ドメインを提供。
  • 高速かつ低コストというSolanaの特徴を活かせる。

実際に.ethドメインを取ってみた

私自身も実際にENSで「.eth」ドメインを取得してみました。やってみて気づいたのは、まさに「Web3版のドメイン」そのものだということ。ウォレットに名前をつけられるので、自分の住所をわかりやすく伝えられるようになります。

ただし、課題もあります。正直なところ、ウォレット名の世界はまだまだ分かりにくい。設定や仕組みに慣れるまでに少し時間がかかりました。とはいえ、DNSが普及する前のWebも同じように"分かりにくさ"を抱えていたのかもしれません。

ENSで.ethドメインを取得する方法【初心者向け手順】

事前準備(ウォレット作成・ETH入金)

取得の前に、まず下記2点を準備しておきましょう。

  • ENSを管理するためのウォレットを作成(例:MetaMask、Trust Wallet など)

  • ウォレットにETHを送金(ETHが入っていないとドメインは取得できません)

準備が整ったら、いよいよ取得です。

  1. ENS公式サイトにアクセスし、ウォレットを接続

  2. 取得したいドメイン名を検索 → 「Available」と表示されていれば取得が可能

  3. 契約年数を選択 → 長く設定するほどガス代が安くなります

  4. 料金を支払い、登録完了

今回登録したドメインの費用感ですが、為替や暗号資産の価格は常に変動しています。ですので数百円の誤差は出るものの、目安として 0.0011 ETH=およそ760〜770円程度 と考えていただければ大丈夫です。思ったより手が届きやすい金額ではないでしょうか。

ENSにも「レジストリ」という仕組みがあります。これはEthereum上に存在するスマートコントラクト※のこと。
そして ens.domains は、そのスマートコントラクトにアクセスするための"窓口(UI)"にすぎません。

続いてドメインの契約年数を選択。契約年数を長くするほどガス代※が安くなります。

補足解説

※スマートコントラクト:ブロックチェーン上に書かれた「契約を自動で実行するプログラム」。人が間に入らなくても、あらかじめ決められたルールに従って安全に処理が進む仕組み。
※ガス代:Ethereumなどのブロックチェーンで取引や契約を実行するときに必要な手数料。ネットワークの混雑状況によって変動する。

「Use as primary name」をオンにすると、アドレスとドメインの紐づけが自動で行われます。
その後、対象のEthereumアドレスを確認し、プロフィールを設定します。

今回は詳細を割愛しますが、本来であればプロフィール画像に使用したいNFTを選ぶことも可能です。自分だけのアイコンをブロックチェーン上に登録できると思うと、ちょっとワクワクしますよね。

支払い内容の確認画面が表示されます。内容に問題がなければ 「Begin」 ボタンをクリックしましょう。続いて 「Open Wallet」 ボタンをクリックします。

MetaMaskでトランザクション内容を確認し、問題なければ承認していきます。
イメージがしやすいように手続画面を順に紹介します。

続いてドメインの支払いを行います。先ほどと同じくMetaMaskでトランザクション確認して処理を実行。

トランザクション処理が終わると、これでドメイン取得の手続きは完了です。

紙吹雪の演出が出ると、本当にうれしいですね!これでフィニッシュです。
プロフィール情報はあとからでも設定できるので、プロフィール画像など少しずつ変更していこうと思います。

ENSを活用した、ブランディング戦略、デジタルマーケのこれから

ENSは、Web3.0時代において重要なツールと考えられており、今後ますます需要が高まっていくことが予想されています。

たとえばENSのドメイン登録数については、2021年に北島康介さんが購入を発表して話題になりました。そして2025年7月時点では、ENSには 170万以上 のドメイン登録があると報じられています。『ちょっとかっこいい』でチョー気持ちいい!!

ENS ドメインは、長いウォレットアドレスの代わりに人間に読みやすい名前にするだけの技術ではなく、
ブランド構築・Web3アイデンティティ確立を目的とし他利用方法も出てきております。

2021年8月12日に アメリカ発祥の世界的ビールブランドのBudweiserが beer.eth を取得 を取得したとのことです。
Business Insider によると、これは「ENSの仕組みを理解していることを暗に示す」戦略的な動きであるとのコメントしている事もあり、
やはり『ちょっとかっこいい』をやりたいんだな~アメリカの方も。

Budweiserはこれらの施策を通じて「Web3に積極的に乗り出すブランド」という印象を強化しつつ、NFTやENSをマーケティング・ブランドコミュニティ形成・顧客体験向上などに活用する戦略をとっていくようですね。


また、ファッション業界に大きな影響を与え続けている、Vogue Business によると、Balmain.eth や Balenciaga.eth、Gucci.eth は高額で取引されていたり、Vaultgucci.eth のように関連ブランドが保持している例もあると報告されています。

PayPal と Venmo が 2024年9月に発表した ENS(Ethereum Name Service)との統合についても大注目ですね。
ENS を統合したことは、単なる技術連携以上に デジタルマーケティングにも大きな影響 をもたらします。
PayPal や Venmo ユーザーは、難しいアドレスではなく シンプルなブランド名や個人名で送金・取引できるようになりますがそれ以外にも、ENS名を使ったNFTエアドロップにも期待大です!

ブランドとして Web3 空間での信頼性や存在感を強化したい場合、今のうちに brandname.eth の取得を検討する動きは増えています。
もし具体的にご自身のブランド名での可用性を確認したい場合や、ENS の技術的活用方法、サブドメイン設計、マーケティング施策との連携など詳細にご希望があれば、お気軽にご相談ください!

まとめ

ENSで.ethドメインを持つことは未来への第一歩

実際にENSを触れてみて感じたのは、「まだまだ分かりにくい部分はあるけれど、確実に未来につながる仕組みだ」ということです。
DNSが登場した当初も、多くの人が「難しそう」と思ったはずですが、今では当たり前の存在になりました。

ENSも同じように、時間をかけて私たちの生活に自然と溶け込んでいくのだと思います。
だからこそ、まずは自分のドメインを持ってみること。
それが、Web3の世界を少しずつ身近に感じる最初の一歩になるのではないでしょうか。

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大前 司

この記事を書いた人

大前 司

デジタルマーケティングのお仕事をするにあたって、窮屈に感じる事が増えクライアントからの期待値もワクワクするような事は期待されず、コンバージョンレートを1ポイントでも2ポイントでも上げるようなそんな期待を求められる事が増えています。 この業界に従事するうえで、数年前までは、ビジネスを大きく変えるデジタルマーケティングの技術にクライアントも胸を躍らせ、支援する側も目を輝かせながら、提案書を作っていた景色がありました。 今はそうなっていないという事ではないですが、AI技術の一般普及、ノーコード技術などの便利な技術が増加している一方で、デジタルマーケティングに関わる人たちが、少し委縮し、未来に対してワクワクしない状況が少しずつ蔓延していっているように感じています。 デジタルマーケティングの業界が少しでもワクワクするような情報や、体験を少しずつでも、紹介していきたいと思います。

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