IRにAIあ~る?ヨリミル的「AI開示革命」FormXが変えるIR実務とXBRL活用の最前線
みなさん、こんにちは。ヨリミルライターの大前です。
前回の「IRに愛あ~る?」記事では、IR担当者が持つべき「投資家への愛」の重要性についてお話ししました。
そして今回。
愛(Ai)の次に登場するのは......そう、「AI(人工知能)」です。
近年、フューチャースピリッツでもIRサイト制作のご相談が増えてきています。そんな中、少し保守的と言われてきたIR業界で、とてつもない変革の波と共に「一石」が投じられようとしているのをご存じでしょうか?
11月5日、TLに舞い込んだ「挑戦状」
ことの発端は、11月5日に私のタイムラインへ流れてきた一つのツイートでした。
「法定開示・適時開示の書類作成から、XBRL提出、AI英訳、タスク管理までをワンストップで行えるクラウド開示ソフトウェア『FormX』の提供を開始しました」
このニュースを見た瞬間、私は思わず「新しい風が吹いている!」と声を上げてしまいました。
なぜなら、長年にわたり宝印刷さんとプロネクサスさん2社が圧倒的シェアを握ってきた、いわば聖域のような市場に、真正面から挑む「第3の選択肢」がついに現れたからです。
1.3億円の資金調達、そしてAI搭載の衝撃
その名は、株式会社FormX。
2025年9月のシードラウンドではすでに総額1.3億円を調達し、10月に正式リリースされたこの新サービス。
これまでの常識を覆す彼らの武器は、「AIによる和文ドラフト生成」「AI自動翻訳」、そして「直感的に使えるSaaS体験」です。

「IRの実務は、もっとクリエイティブになれるはずだ」
そんなメッセージが聞こえてきそうなこの新しい波は、果たして私たちの業務をどう変えていくのでしょうか? このチャレンジャー「FormX」登場をきっかけに加速する「IR × AI」の現在地を、今からじっくり紐解いていきたいと思います。
そもそも、ディスクロージャーに欠かせない「XBRL」って何?
先ほどFormXの特徴として触れた「XBRL形式での提出」。
IR担当者には馴染み深い言葉ですが「結局、XBRLって何がすごいの?」と聞かれると、意外と説明に困るかもしれません。
XBRLとは「財務データの共通ラベル」
XBRLを一言でいえば、
「企業の財務情報に貼られた、世界共通のデジタルラベル」。
スーパーの商品バーコードをピッと読み取ると瞬時に「商品名」や「価格」が分かるように、決算書の数字ひとつ一つをコンピュータが瞬時に理解できるようにする仕組みです。

「人が読む資料」から「コンピュータが理解するデータ」へ
私たちが普段PDFでみている「有価証券報告書」や「決算短信」ですが人間が見れば「ここに売上高がある」「これは営業利益だ」とすぐに分かります。
でも、コンピュータにとっては違います。PDFや紙の書類は、コンピュータから見ると「ただの文字と数字の並び」や「画像」でしかありません。
そのため、投資家やアナリストがPDFを見ながら一つひとつの数字をExcelに手で打ち込む大変な作業がかつては必要でした。
「タグ(荷札)」が世界を変えた
そこで登場したのが国際標準言語XBRL。
(英語表記eXtensible Business Reporting Languageの略)
日本では2008年から金融庁がEDINETでの提出を義務化しており、主要開示書類の多くがXBRLで構造化されています。
つまりFormXがこのXBRLに完全対応して、さらにAIを組み合わせるということは、
「データ作成」から「分析・活用」までのスピードが飛躍的に上がる
という意味なのです。
これは、財務データの数値ひとつ一つに、見えない「タグ(荷札)」を埋め込む技術。
- 「この数字は売上高(Sales)です」
- 「通貨は日本円(JPY)です」
などにタグ付けして裏側に情報を持たせることで、コンピュータが「どこの企業の、いつの時点の、何の数字か」が瞬時に正確に理解できるようにしました。
実は日本は世界トップクラス?
もう一つの「XBRL先進国」の顔

金融庁&東証のファインプレー
「XBRLなんて、どこの国でも当然やってるでしょ?」
そう思われがちですが、違います。
実は日本は世界をリードしてきた「XBRL先進国」のひとつ。
普段私たちが使う金融庁の「EDINET」や東京証券取引所の「TDnet」では、世界的にもかなり早い段階からXBRLのシステムを全面採用してきました。
このインフラが整っているおかげで、投資家やアナリストは何千社もの決算データを瞬時にダウンロードして自分の分析ツールやエクセルに取り込み、横並びで比較ができます。
「手打ち」の時代からの解放
XBRLが普及する前の世界を想像してみてください。
「売上高は......、営業利益は......」
かつての投資家やアナリストたちは、机の上に山積みにされた紙の決算書と睨めっこしながら、ひとつ一つの数字を目で確認しながら、スプレッドシートに手作業で打ち込んでいました。この作業、どう考えても大変ですよね。当然、時間もかかればミスも起きます。
人間がやるべきなのは、「数字の転記」ではなく、 その数字を見て「分析し、判断すること」。
XBRLの普及は、こうした「転記作業(単純作業)」を劇的に削減しました。
この日本が作り上げてきた「デジタル開示の土壌」があるからこそ、次のAI活用の道が開かれようとしてい流のです。
「財務」から「非財務」へ。広がり続けるXBRLの世界
日本がXBRL先進国だということは先に話しましたが、この技術、実はまだ完成形ではありません。今、XBRLは第2の進化期を迎えています。それが「非財務(サステナビリティ)情報」への適用拡大です。
ESGも「タグ付け」で比較する時代へ

これまで貸借対照表や損益計算書といった「お金(財務諸表)」の話をメインにしていましたが今、投資家が熱い視線を注ぐのは、気候変動リスクや人的資本などのESG(環境・社会・ガバナンス)情報。ここにもXBRLが活用され始めています。
「A社の環境対策とB社の対策、どっちが進んでるの?」
ESG情報は、これまで各社が自由記述の文章や独自のグラフで表現していたため、横並びの比較が非常に困難でした。そこに、XBRLの技術が応用され始めています。
ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の動きと連動させて、温室効果ガス排出量や女性管理職比率などにも「タグ(荷札)」を付ける。
これにより、世界中の企業のサステナビリティへの取り組みが瞬時に比較・分析できる未来が、もうすぐそこまで来ています。
AI × XBRL = 最強の分析パートナー
そして「AI」が、さらにXBRLの価値を高次元へと引き上げます。
ChatGPTのようなAI(大規模言語モデル)は、テキスト理解が得意。
そこに構造化されたXBRLデータが組み合わさると、分析の精度は格段に向上します。
これからのXBRLは、単なる「決算書のフォーマット」ではありません。サステナビリティを含むあらゆる企業活動をデジタルデータとして流通させ、AIによる高度な解析を支える。
XBRLはもはや単なるフォーマットではなく、「AIによる高度解析を支えるグローバルな情報基盤」へと進化しつつあります。
開示業務を取り巻く構造的課題

人は減るのに、やることは増える(ESG、人的資本...)
とはいえ現場はきれいごとばかりではありません。
IR・経理担当者が日々戦っている敵...。それは、複雑な会計基準だけではない。
さらに追い打ちをかけたのが「業務の高度化」と「人材不足」。
財務情報だけでなく、人的資本やESGなどの非財務情報の開示も求められるようになり、業務量は増すばかり。専門知識を持つ人材も枯渇し、このまま現場がパンクするのは時間の問題でした。
投資家も評価した「現場を救う一手」
ジェネシア・ベンチャーズがFormXへ出資した理由もここにあります。
「FormXのAI技術なら、この構造的課題を解決し、企業の生産性と働き方を変えられる」
単なる新しい業務ソフトではなく「バックオフィスの危機を救うソリューション」として期待されているのです。
まとめ:IRに「AI」があれば、もっと「愛」を注げる

長年、特定の2社が支えてきたディスクロージャー市場。
そこに挑むFormXは、単なるライバルの新興企業という枠を超えて、業界に「デジタル化」と「効率化」という新たな風を吹き込む存在です。
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直感的なエディターで、インデント地獄から解放される
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AIによるドラフト・翻訳で、単純作業をゼロに近づける
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XBRL自動対応で、データ活用を加速させる
これらが実現すれば、私たちはどうなるでしょうか?
本来注力すべき「投資家との対話」や「自社の魅力の深掘り」に、空いた時間とエネルギーを使えるようになります。
冒頭の問い、「IRにAIあ~る?」の答えはもう明らか。
AIはあります。
そして、AIを取り入れることで、IR発信にはこれまで以上の愛(Ai)を込められるようになるはずです。
「第3の選択肢」の登場が、日本のIRをどこまで進化させていくのか。
これからの展開にワクワクが止まりません!
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