IRに「デジタルマーケティング思考」あ〜る?IR-SEO & GEO戦略
こんにちは!ヨリミルライターの大前です。
これまで数回にわたりIRについてお話ししてきましたが、今回はより「ヨリミル視点」で深掘りします。
テーマは 「IRサイト × デジタルマーケティング」。
「誰に、どう届き、どう心を動かすか」というマーケティング思考を取り入れると、企業価値の伝わり方は大きく変わります。これからのIR活動がどう進化していくのか、一緒に見ていきましょう。
「開示」から「マーケティング」へ
デジタル戦略が変えるこれからのIR活動

最近のIRサイトは技術的に大きく進化していますよね。
しかし中身の思想が、少しだけ...2000年代の「Web2.0」に留まっているケースも見受けられます。
情報はデジタル化され、検索できて、動画も掲載されている。
でも実態は 「企業が一方的に情報を並べているだけ」になってしまっていることも。
これでは「開示(Disclosure)」の義務は果たせても、「対話(Dialogue)」にはなりません。
投資家のみなさんは、ただのPDF置き場を見たいわけではありません。
その企業の「今」と「未来」にワクワクし、疑問が解消され、「この会社なら大丈夫だ」と納得したいのです。
1. デジタルマーケティングの常識をIRにも!

マーケティングの世界では、10年以上前から「顧客とのエンゲージメント(絆・対話)」が最優先です。
- マーケティングの常識
相手の興味に合わせて情報を届け、反応を見て、会話を楽しむようにファン化につなげる。 - 現在のIRの「非常識」
誰が来ても同じ対応。PDFをポンと置くだけ。読まれたかどうかの分析もない...。
マーケティング部門が「顧客体験(CX)」を磨く一方で、IR部門が「投資家体験(IX)」を後回しにしていては、激しい競争に勝てませんよね?
2. IRにも「デジタルマーケティング」を!

課題:良いモノでも、知られなければ「ない」のと同じ
どれだけ業績が良くても、認知されなければ投資行動にはつながりません。
マーケティングで「良い製品も宣伝しなければ売れない」のと同じで、
IRも 「業績が良い=株価アップ」という単純な話ではない のです。
「社名」で検索してくれる投資家だけでなく、
"まだ出会っていない未来のファン" にどう見つけてもらうか。
そこで重要になるのが、SEOとSNSによる 「見つけてもらう(流入獲得)」作戦です!
IR-SEO & GEO戦略:検索とAIに見つけてもらう!
AI検索(ChatGPT、Perplexityなど)が広がる今、
Google検索(SEO)に加えて GEO(Generative Engine Optimization) も欠かせません。
- ロングテール × AI最適化
「DX銘柄 成長性」「脱炭素 関連銘柄」など、投資家が検索しそうなワードを踏まえたコンテンツ設計を。 - 脱PDF!重要情報はHTMLに
PDFはAIに読み解きづらい形式。
大切なCEOメッセージや成長戦略はHTML化しておくと、AIが引用しやすくなり投資家に「この会社がおすすめ」と引用してくれる可能性も。 - 構造化データでAIフレンドリーに
FAQや数値データを整理して構造化すれば、AIも検索エンジンも理解しやすく、表示もリッチ化され一石二鳥です。
IR-SNS戦略:SNSで「聴く」力を鍛える
今の投資家は、公式サイトよりSNS(X、LinkedInなど)を重視しているケースも多くみられます。IRサイトとSNSのクロスチャネル設計は必須です。
- 攻めのアピール
適時開示の自動投稿だけではつまらない。
インフォグラフィックやショート動画で「ひと目でわかるIR」を発信し、タイムラインで目立っちゃいましょう! - SNSの声を聴く(ソーシャル・リスニング)
みんなの決算への反応は「ポジティブ?」「ネガティブ?」「誤解されている点は?」リアルな声を拾い、次の発信に活かすのがプロの技。
3. 実践編:MauticでIR活動も「自動化」しちゃう?

マーケティングの武器
「セグメンテーション」「パーソナライゼーション」「スコアリング」
これらはIRにもそのまま装備して応用できます。
高価なツールもいいけど、コストを抑えつつ自由度の高いオープンソース Mautic なら、次のような活用が可能です。
Mauticでこんなことできちゃいます
- アクティブ投資家の発掘!
「財務ハイライトを見た?」「社長動画を最後まで見た?」など、IPアドレスや閲覧履歴をスコア化して、熱量の高い機関投資家にこちらからアプローチ。
既存の個人投資家の動きをトリガーに、IR担当者から面談を提案することもできます。 - 個人投資家をファン化する「ステップメール」
メルマガ登録してくれた人へ「当社の強み → 新事業 → 株主還元」など、タイミングや興味に合わせて段階的にメールを届けることで、理解と好意を育くみ、知れば知るほど好きになる!さらに、熱量が上がっていくのをスコアリングで可視化し、効率的なコミュニケーションが可能。 - 関心に応じたWeb接客
ESGに興味がある人にはトップページを「脱炭素の取り組み」バナーに自動切り替え。
「私のことわかってるね〜」と思わせるWeb接客の体験を。

4. 結論:IRは「コスト」ではなく、「価値を生む装置」へ
デジタルマーケティングの手法を取り入れれば、
IRサイトは単なる資料庫ではなく、投資家の心を動かし、エンゲージメントを高める最強のツールに進化します。
企業価値(時価総額)は
実力(EPSなど) × 期待(PER) で決まります。
この「期待」を高めるためには、待つだけでは不十分です。
マーケティングチームが製品を広めるために行う
SEO・SNS・Go-to-Market戦略をIRにも転用し、
能動的に市場へアプローチしていく必要があります。
「情報を置く」だけでなく、「届けて、動かす」。
データドリブンなマーケティングの技こそ、これからのIRの秘密兵器。
デジタルで対話を深め、企業価値をググッと押し上げていきましょう。
それが、次世代IRの新しい楽しみ方です。

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