後編|文字はどう進化してきたのか。モリサワに聞く、フォントが"声"になるまで
人類は、思いを伝えるために「文字」という表現を進化させてきました。
フォントは、時代とともに進化しながら、人の思いを伝える手段として役割を広げてきました。
写植からデジタルへと至るその変化の中で、「ブランドの声」としての価値も育まれてきたのです。
今から102年前、創業者・森澤信夫氏が日本語向け写真植字機を発明。写植からDTP、そしてデジタルへ。文字表現は時代とともに進化し、社会のコミュニケーションを支えてきました。
前編で見えてきた、「ブランドの魅力を最大限に引き出すフォントの力」。
その源流をたどるために、文字の歴史と未来が交差するモリサワ本社ショールームへ潜入します。
フォント愛が深まる『MORISAWA SQUARE』見学レポート
さて、みなさま大阪のモリサワ本社ビル5Fにショールームがあるのをご存知でしょうか︖
フォントメーカーならではのひと味違った視点で、「文字」をテーマにした空間へ。その魅力をレポートします。

※一般の方も来館可能。ショールーム見学専用カレンダーより事前予約が必要です。
ここでは「文字を通じて、伝え、深め、広めていく」ことを目的に、モリサワが培ってきたこと、いま求められていること、そして未来へ発信していく価値に触れることができます。

文字の歴史、活版印刷・写植・デジタルへの進化
展示では、文字の誕生から現代のデジタルフォントに至るまでの流れがたどれます。
当時の人々は、どのように文字を使って思いを伝え、文化を築いてきたのでしょうか。
古代、世界各地で培われた文明から文字がはじまり、15世紀には金属活字による活版印刷が広がっていき、やがて写植の発明へ。さらにデジタル技術の進化によって、文字表現は大きく発展してきました。

写真左)奈良時代の印刷物「百万塔陀羅尼」写真右)江戸時代の木版『解体新書』
中でも印象的なのが、モリサワが開発した「邦文写真植字機」です。
1924年、森澤信夫氏が日本語特有の、すべての文字が四角の中に収まる構造に着目し、写真の原理を応用して文字を組版する技術を実用化。

写真)本社エントランスには歴代の写真植字機などが展示

写真)1967年発売の万能型手動写植機「MC-6型」は当時1万台もの販売を記録したロングセラー機
さらに、Macintoshの登場をきっかけにDTPが普及し、デザインから組版までをデジタルで完結できる時代へ。モリサワはデジタルフォントの開発を通じて、その進化を支えてきました。

写真)一部の機能をデジタル化して再現した「MC-6型(2024)」で植字の模擬体験
2005年には「MORISAWA PASSPORT」を開始。
それまでフォントは1書体ずつ購入するものでしたが、年間契約によって多様なフォントを自由に使えるようになり、活用の幅が大きく広がりました。
展示エリアには、私たちの身近な製品に使われている書体も並んでいました。
文字は、読むためのものだけでなく、印象や世界観を伝える存在でもある。
そんな気づきが、積み重なっていく空間でした。
これからも、電子書籍や多言語対応など、時代に合わせて進化しながら、文字の可能性を広げていく。その姿に想いを馳せ、ワクワクする時間となりました。
フォントの未来、これからの役割とは?
ーー 最前線でフォントを作られている高木さんへお聞きします。
これからの時代、オリジナルフォントは企業やブランドにとってどのような存在になっていくのでしょうか。
技術の発展が著しい時代ですが、フォントがコミュニケーションをサポートするという役割は変わらないと感じてます。その中でオリジナルフォントは、企業のブランディングや想いを形にし、お客さまに伝える手段の一つとして、より浸透していくのではないかと。
そんなオリジナルフォントによって紡がれる「企業の声」が色々な媒体で聞こえてくることを、素直にとても楽しみにしています。
どんなBGMと合わせているのか、どのようなUIでウェブサイトができていくのか。
店舗のポップや値札に使われることで生まれる空間との組み合わせも含めて、その会社がどのような場所で、どのようなブランディングを展開していくのかを考えると、とてもわくわくします。
よくある質問(FAQ)
(※本文の内容をもとに、質問形式で簡単にまとめました。)
Q. フォントはどのように進化してきましたか?
A. 活版印刷から写植、DTP、デジタルフォントへと技術の進化とともに発展してきました。
Q. フォントの役割はこれからどう変わりますか?
A. コミュニケーションを支える役割は変わらず、ブランドの想いや個性を伝える存在として広がっていきます。
Q. 写真植字機とは何ですか?
A. 写真の原理を使って文字を組版する技術で、日本語の組版を大きく進化させました。
最後にお聞きしました
ーー 高木さんにとって「フォントづくりとは?」

"つながりを生みだすこと"
ーー なぜ、その言葉を選ばれたのでしょうか?
リサーチャーとして、クライアントやデザイナー、エンジニアなど、さまざまな立場の声を受け取りながら、一つの書体へとまとめていく。そのプロセスそのものが、人と人をつなぐ仕事だと感じています。
また、文字は時代とともに、人々の思いを伝える手段として進化してきました。フォントもまた、その役割を担いながら、歴史と現在、人と人、そして思いと社会をつないでいく存在です。
そうした多くの意味を込めて、「つながりを生みだすこと」という言葉を選びました。
<編集後記>
モリサワ本社のショールームを見学して、印象に残った出来事があります。
社員の方々の名刺が、一枚一枚すべて異なるフォントで作られていたことです。
それぞれの文字に、それぞれの個性がある。
私たちが日々目にしている文字にも、どこかで誰かが「伝えたい思い」を込めて設計しているのかもしれません。
時代が変わっても、文字を丁寧に見つめ続けること。
フォントが語る、そのお店ならではの味や、伝統やおもてなしの心。
私は、そのお店の看板に刻まれたフォントを見て、そのお店へ入るか決めています。
みんなに愛されるフォントを生み出し続けるモリサワの姿勢から、文字づくりへの信念と情熱を感じました。(ヨリミルライター 菊池由佳)
モリサワについて
株式会社モリサワは、「文字を通じて社会に貢献する」を社是に研究・開発を続けるフォントメーカーです。クラウド型フォントサブスクリプションサービス「Morisawa Fonts」をはじめ、ユニバーサルデザイン(UD)フォントが使える「MORISAWA BIZ+」、機器への組込みフォントなど、利用環境に合わせたフォントサービスを提供しています。コーポレートフォントや製品サービス向けの専用フォントなど包括的な利用の提案も行っています。
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