2025年、IT業界はどうなったのか? 年初予測を責任もって振り返る
2025年、IT業界はどうなるかを書いたから、ちゃんと責任持って振り返りを書く回
2025年もあともう少しですね。ヨリミルライターの須賀です。
なんせ激動の2025年...毎年そう思ってはいるのですが、今年は特に「変革の年だったな」と感じています。
というわけで、今回は振り返ってみようかと思います。
こんな振り返りをすると自分の首を絞めるのでは...と少し不安を抱きつつも、言いっぱなしの無責任さは、さすがにカッコ悪いですからね。
では、いきましょう!
今年の初めに、私はこんな記事を書いていました。
「2025年、IT業界はどうなるか」
1つ目:AIと自動化の進展
須賀の振り返り:
AIと自動化の進展。
この時点では、生成AIも「使っている人が使っている」くらいの印象だった気がします。
ところが、蓋を開けてみると、この1年でとんでもない進化を遂げました。
AIアシスタントからAIエージェントへ。
2025年の話題は、このAI、というか生成AIエージェントが軒並み持っていって、他が目立たなかったのではと思うほどです。ヨリミルブログも、須賀と高村で生成AIネタばかり書いていた気がします...。
ただ、その分、業務の自動化は格段に進みました。
環境そのものが変化してきた、というより、変化せざるを得なかった、という感覚です。
一方で、この部分に書いていたApple Inteligenceは、正直そこまで盛り上がらず。
「OpenAI一強かな?」と思っていたら、次から次へとさまざまなサービスが登場して、それぞれに得意分野がある状態に。
実際に触ってみようと、めちゃくちゃ色々と試した結果――
私、生成AIのサブスク料金だけで、とんでもない金額になってました...。
2つ目:サイバーセキュリティの重要性拡大
須賀の振り返り:
サイバー攻撃のニュースも目にしてた方も多いのではないかと思います。
よくニュースになっていた例で言うと、
- ASKUL社のサイバー攻撃(ランサムウェア)によるデータ漏洩
- アサヒグループホールディングスが同様にランサムウェア攻撃を受け、受注・出荷システムに障害が発生(9月)
この2社どちらも「物流」としてモノを扱っている会社さんなので、身近に感じますよね。
サイバー攻撃のニュース自体は、企業でよく起きていてこれまでも報道されてきました。ただ、Web系の人間以外にとっては「へー、そうなんだ」くらいの感覚で捉えられていた部分もあったと思います。
それが、居酒屋さんに行ったときに、
「ビールがないんですよ、今日」
と店員さんに言われたお客さんが
「えぇ?あ、あのニュースのやつ?」
と会話している場面を当時実際に目の当たりにしました(飲みにいってる時に)。
そうなんです。全然他人事ではありません。
リスクがあるからこそ、しっかり捉えてほしいテーマだと思っています。
3つ目:クラウドとハイブリットITの拡大
須賀の振り返り:
予測として挙げるのであれば、ここは正直ちょっと微妙でしたね。
ハイブリットITというよりも、完全にクラウド化が進んでいっている印象です。
エッジコンピューティングが台頭している、という現象自体は見られるものの、ニュースとして大きく取り上げられるほどではなかったかもしれません。
ただ、
- Akamai(世界最大級CDN)がエッジ実行向けWasm企業を買収
- Cisco Unified Edge Platform(分散AIワークロード向け)
といった動きは、アプリケーションからエッジへの明確な意思表示だと感じています。
これらも、生成AIによってかなり加速されたエッジコンピューティングの流れだと捉えました。
また、イーロン・マスク氏がテスラ社の展望や、今後のクラウド依存の現状から、クラウドに頼らない即時処理(エッジ処理)の必要性について語ったのも印象的でした。
エッジコンピューティングの必要性は高まっているものの、まだ市場感としては限定的という印象ですね。
参考記事:[テスラCEO イーロン・マスク氏が語る、AI搭載デバイスの未来]
4つ目:ウェブ3.0とブロックチェーンの実用化
須賀の振り返り:
NFTやブロックチェーンといったデジタルアイデンティティは、もう少し時間が掛かりそうですね...。
ずっと言われ続けている割に、ビットコインなどの印象にどうしても引っ張られがちに。
「デジタルデータのアイデンティティ」と言われても、「データはデータでしょ?」という価値観が、割と多い日本市場では加速しにくいのかな...と感じています。
やりようによっては面白いものが作れると思うのですが、この点はイマイチな見解でした。
5つ目:持続可能性(サスティナビリティ)とIT
須賀の振り返り:
これはAIとの相性も良く、IoT×AIとして、さまざまなプロジェクトが上がっていましたよね。エネルギー管理関連などは、特にサービスも多く出ていました。
劇的に変わったのは、その「スピード感」。
開発や設計のスピードが、明らかに上がったと感じています。
その要因として、AIの発展が大きく貢献していることを、ひしひしと感じます。
6つ目:新しい働き方の定着
須賀の振り返り:
そもそも弊社は、フルリモートもOKだったりしますが、
フロント業務の役割の人間はお客さま先への往訪もありつつ、会議自体はリモート中心のスタイルが継続していました。
ただ、お客さまの環境をみていると、出社ベースに戻っている会社さんも多くなってきたなと感じています。私自身は、なるべく顔を合わせて話した方が、話が早いことも多いと思っています。ちょっとした会話や確認も、声をかけやすいですしね。
実際、上司と話していても、会って話している方が、仕事の話が自然と広がる感覚はあります。
なので、対面できる方が、個人的には好きです。
一方で、リモート会議のメリットも大きい。
会議内容がそのまま議事録として残せて、要約もできる。
誰が何を話したかもしっかり記録される。
このあたりは、生成AIさまさまで、かなり効率化されました。
......それでも、やっぱり人と会って話すのが好きです。
大事なことなので、2回言いました。
うちの菊池も、リスキリングで短期海外に行ったりしていますし、生成AIによって、こうした「余白」が生まれてきた感覚もありますね。
記事:なぜ今、30代以上の大人が海外で学び直しをするのか? 世界のリスキリング事情2025(留学体験記)
当時、こんなことも書いていましたが、かなり状況が変わってきています。
この頃は、「生成AIを使って、AIエンジンを利用したシステム開発」のプログラミングのニーズが増えると考えていました。しかし、それを飛び越えて、非エンジニアが生成AIエージェントを使い、コードを書き、実装までできるレベルに進化してしまっています。
「バイブコーディング」なんて言葉が出てきたのも、今年の途中でしたし、
まさに激動です。
この変化によって、世の中のスピード感は、劇的に変わりました。
人や企業は、「システムを作りたい」のではなく、
「○○を実現したい」。
そのための方法を、目の前のエージェントとやり取りし、一定の答えを得る。
これから先も、
「システムを作ること」を目的にしていると、
ここを見誤る気がします。
「システム」は、あくまで手段。
もちろん、自分の分野である「マーケティング」も同じです。
すでに企業によっては、「製作を内製」できる環境にあります。
要件定義やワイヤー、設計書レベルであれば、Webの知識が無くても、生成AIで、デザインやコーディングまで可能になっています。
場合によっては、そこまで用意された状態で「これできますか?」という相談が来ることもある、という話も聞きます。
マーケティング領域も、例外ではありません。
ただ、生成AIは割と「やり方」を中心に作ってくれます。
その前段階をしっかり押さえずにプロンプトを書くと、
「薄いマーケティング施策」=「どこも同じ施策」になってしまう。
この点は、今までと変わらないな、という印象です。
一方で、「最低限」のことをやるスピードは、爆速になりました。
うまく使える人は、生成AIで自分のノウハウをさらに磨いていく。
その差は、これからますます広がっていくと感じています。
これは、システム分野も同じでしょう。
2025年問題(人材枯渇)
須賀の振り返り:
実は、当時、この部分にはすごく不安がありました。
書いている内容そのものではなく、
自分がフル稼働しながら、人を育て続けることを、いつまで続けるんだろう、という不安。
育てた人材の流出。
人材と向き合い続ける日々。
そして、物理的に減っていく労働人口。
この先、どうなっていくんだろう。
当時は、そんな見えない不安と戦っていた感覚でした。
けれど今、生成AIエージェントがこれだけ普及する中で、感覚は少し変わりました。
自分自身が使い込み、これから先の仕事の在り方が、大きく変わることがはっきり見えました。
一人でこなせる仕事量も、クオリティも、格段に変わった。
人とコミュニケーションするための情報整理の精度も、スピードも変わった。
任せていた作業を、自分でこなせる量も、体感で10倍くらいになった。
「一人ユニコーン」という言葉が出てきたのも、決して大げさではないと感じます。
もう、人材を「リソース」と捉える時代ではない。
本気で、そう思いました。
必要なところに、人が働きに行ける環境。
ダブルワークが当たり前になる環境。
極端な話、生成AIを使って仕事をしながらキッチンで料理作ることもできたり、
別の場所で全く違う仕事をする、ということすら可能になる。
作業的なもの、クリエイティブなサポート。
これまで「待ち時間」が多く発生していた部分が、一気に加速した。
そんな感覚です。
もちろん、人が必要な部分はあります。
判断すること。
「これが良い」と感じる感覚。それらは、経験値が活きる領域です。
AIプロンプトを書くためには、明確な「目的」「意志」「イメージ」が必要。
何となくでもアウトプットは出せますし、対話を通じて構築することもできます。
ただし、質問や方向性が曖昧なままでは、最終的なアウトプットには近づきません。
プロジェクトマネージャーやプロデューサー視点で見ると、「これ、こうしといて」というお願い先が、生成AIになる。
スピードも、成果の質も、自分のプロンプト次第で、しっかり返ってくる時代です。
だからこそ、自分の価値を高める方向を、間違えてはいけない。
そう感じています。
AIと一緒に考える時代。
そして、それを共有し、人に共感をしてもらう時代。
人と人との間にAIが挟まるのではなく、最終的に行動するのは「人」。
そのエンゲージメントを、より質の高いものにするために、生成AIエージェントがある。
そんな時代が、当たり前になっていったらいいなと、切に願っています。
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